海外の航空会社ではストライキが頻繁に起こるので、フライトが急に変更になったり最悪キャンセルになることがよくあります。
日本の航空会社の場合、急な変更の場合ホテル代などを出してくれることもありますが、それは単純に顧客満足度向上のためもしくは好意であって、海外の航空会社の旅客運送約款(航空券購入時に全員同意する契約)ではそのような補償が義務であるとの記載はしていない場合がほとんどです。
それはどういうことか?私が実際エアタヒチヌイの遅延のせいで1泊分のホテル代10万円が吹っ飛んだ経験を元に詳しくご説明します。
まずは知っておくべき「旅客運送約款」とは?
旅客運送約款とは、航空券を買う時知らないうちに予約サイトの利用規約経由で同意している航空会社との契約のことです。
例えば、予約サイトで航空券を予約する時は、予約直前の画面にだいたいこんな文言が表示されています。いつも気にしていないかもしれませんが、必ず出ています(笑)。
このご予約の完了をもって、上記の規則および制限事項、利用規約、プライバシー ポリシーを読み、その内容に同意し、政府の渡航情報を理解したものとみなされます。
また、「利用規約」にはこんな内容が書いてあることが多いです。
お客様が選択された旅行関連の商品およびサービスの予約および購入には、本利用規約に加えて、第三者サプライヤーの定める別の利用規約が適用されます。
航空会社は、通知を行なったうえでまたは通知なしで、フライトをキャンセルまたはスケジュールを変更する場合があります。
サプライヤーとはホテル、航空会社など予約サイトから予約できる宿泊やフライトのサービス提供者のことですね。
要約すると、予約サイトとの利用規約以外に、航空会社の旅客運送約款にも同意する必要がありますよ。また、航空会社は突然フライトをキャンセルしたり変更することがありますよ(でも予約サイト側には責任はありませんよ)という意味です。
そして、ほとんどの航空会社の旅客運送約款(航空券予約者と航空会社の間の契約)にもやはり、航空会社は突然フライトを変更することがあるが、その場合別の輸送手段で目的地まで送り届けはするものの、変更によって旅客に発生した損害については責任を追わないという趣旨の文章が必ず書いてあります。
つまり、遅れようがなんだろうが目的地に到着さえすれば航空会社は義務を果たしており、それ以上のことは何もする義務がないという意味になるのです!!
このことが何を意味するかお分かりでしょうか・・・。これによって発生しうる損害には例えばこんなものがあります。
- A社のフライトが遅延したせいで次のB社のフライトに乗りそびれた(A社は目的地に送り届ける責務を果たしているので問題なし)
- A社のフライトが変更になったせいで経由地での余分な滞在が発生してホテル代がかかった(これもA社は目的地に送り届けているので問題なし。クレジットカードなどの保険でまかなうべし)
- A社のフライト遅延のせいで到着が1日遅れ、その分のホテルのキャンセル費用が発生した(これもA社は1日遅れで目的地に送り届けたので問題なし)
私は実際にこの赤字のケースを経験したので、詳しくお伝えします。
私が実際に経験した飛行機遅延のケース
エアタヒチヌイから、突然遅延を知らせるメール
私は2015年の暮れから2016年の年明けにかけて毎年恒例の年末年始タヒチ旅行に行っていたのですが、出発前日の昼過ぎに突然利用予定のエアタヒチヌイからメールが来ました。
26日出発予定だったので、クリスマスのことです。
これがそのメールです。
あー、わざわざ前日に確認のメール送ってくれるんだー・・・とぼーっと旅程を見ていると、12/26であるはずの出発日が12/27になっています。
そして、最初よく見ていなかったメールの件名を改めて見ると「12月26日(土)TN77便遅延のお知らせ」となっているではないですか。
・・・あれ?
は??!遅延??!?!?
メール本文には、しれっとこんなことが書いてあります。
重要: お客様のフライトスケジュールの変更のお知らせとして、こちらのメールをお受け取りになられている可能性もございます。
いやいやいやいや・・・26日のホテルもう取ってるんですけど。1日遅れるってこと?何でこんな直前に??
エアタヒチヌイの日本支社に電話するも、自動音声が「月曜日から金曜日におかけくださいー」とか寝ぼけたことをぬかします。電話をしたのは日本時間の金曜日の昼過ぎだったので、地球上どこの場所にもその時土日だった国はありません。
タヒチ時間だと確かに金曜の18時すぎなので営業時間を過ぎていたかもしれませんが、日本のサポートは営業時間内なんだから出るべきです。もしかして問い合わせが殺到することを予想してわざと時間外の案内をしていたんでしょうか。
必死でカスタマーセンターとは別の電話番号を探し出してエアタヒチヌイ日本支社の予約部にかけたところ、何とパイロットのストライキで1日遅れるんだとのこと・・・。
とんでもないクリスマスプレゼントだよ('A`)
到着が1日遅れることによりホテルのキャンセル料100,000円也
はい。遅延の通知が来た時すでに1泊100,000円の水上バンガローをボラボラ島に取っていました。10,000円じゃありません、10万円です!!1日短縮する場合、1泊目のキャンセル期限はハワイ時間の2015年12月24日6PMまで、日本時間だと12月25日の1:00PMまでです。
いや、そもそも遅延通知のメールが来たの12月25日の1:16PMだったんですけど・・・。16分過ぎとんやんけ・・・。
エアタヒチヌイに聞いても、スケジュールの変更によって発生した損失は一切補償できないとのこと。上述の約款通りの答えです。でも、この時点で私は約款のことは深く認識していなかったのでまさに寝耳に水です。
急いで予約サイトで最初の1泊分をキャンセルし、万が一の可能性にかけてホテルに連絡したところ、最初の1泊のキャンセル料は100%かかりますとの非情な返事がありました。
何とかならないか何度も泣きつきましたが(10回くらいメールや電話のやり取りをしたと思います)、最終的にはキャンセルポリシーは全員に同じように適用されるので返金はできませんとのメールで締めくくられました。
以下が最後のやり取りです。
私:I made the change request slightly later than the cancellation deadline because I received the flight delay notice after the deadline, but please, would you be so kind to allow us to cancel the first night for free? 93,000XPF is a fairly large amount and we can't just spend it for nothing.
(遅延の通知がキャンセル期限後に来たので変更依頼が少し期限より遅れましたが、どうか1泊目は無料でキャンセルさせていただけないでしょうか?93,000XPF(約10万円)はかなりの金額なので無駄にはできないんです。)
ホテル:I'm so sorry but I will not refund any amount. The general conditions are clear and for all our guests.
i'm so sorry for the inconvenience made.(すみませんが、一切返金はできません。一般規約に明確に書かれていますし、これは全宿泊者に適用されます。ご不便をおかけして申し訳ありません。)
チーーーーン・・・・・・
まあ、ホテルは悪くないですからね・・・。真摯な対応だと思います。
すでにホテルからデポジットとして最初の2泊分は引き落とされていましたし、いずれにせよキャンセル料は100%かかると規約にも明確に書かれていますから、どう頑張っても返してもらえないことになります。
せめてあと1時間早くメールくれよエアタヒチヌイ・・・。
この後再度エアタヒチヌイにも電話しましたが、運送約款には何一つ違反していないのでこちらに責任はないの一点張り(もちろんもっと丁寧で低姿勢でしたが)。
3人いるパイロットの1人がストライキだか何だかとのことですが、そういう時のためのバックアッププランはないのか・・・。また、本当にどうにもならないのか私も必死で懇願しましたが、担当の人は同じような電話を相当受けているのか泣きそうな声だったので、こちらももう諦めて切りました。外資の日本支社なんて本社の指示通り動くだけだもんね。外資系あるあるだから私もわかるよ・・・。
法的にも航空会社には請求できないのか弁護士に聞いてみた
幸いというか、私は周りに弁護士がうじゃうじゃいる職場で働いているので(法曹界ではありません)、仕事で弁護士と打ち合わせをした際に雑談の一環でそれとなく本当に航空会社に賠償請求をできないのか聞いてみました。
結果、飛行機は天候や乗客の遅れなどでそもそも到着時間を確約するのは難しく、そういう理由でわざわざ約款に同意させているという一般的な背景があるので、到着が1日遅れてホテルのキャンセル料が発生してもその費用を航空会社に請求することはできないそうです。
無念・・・。
私が入っているクレジットカード保険などでもカバーできず
さすがに10万円ものお金をドブに捨てることはできなかったので、今回ばかりは必死でした。
私が入っているクレジットカードにはショッピング補償も付いていたので、今回の支払いに使用したカード会社に電話してみたところ、残念ながらそのカードを使用して買ったものが破損や盗難で使用できなくなった場合の補償なので今回は対象外だとのこと。
物理的な商品だけに適用される場合が多いらしく、使用できなくなったホテルのキャンセル費用などには適用できないそうです。ホテルだって商品であることには代わりないのにね・・・。
遅延を見越して必要ならキャンセル保険に入るべし
あちこち奔走して何とか補償を受けることはできないか探し回りましたが、結局この時は泣き寝入りになってしまいました。
今後似たケースがあった場合どうすればいいのか?
調べたところ、世の中にはキャンセル保険なるものがあるようです。その他にも使えそうな保険はいくつかあったのでまとめてみました。
ショッピング補償
これは上述の通り私のケースでは対象外と言われてしまいましたが、そのカードを使用して買ったものが破損や盗難で使用できなくなった場合補償してくれるというものなので、適用できるケースもあるのかもしれません。
旅行キャンセル保険
これは、個別に加入する旅行保険です。トリップキャンセルというものが有名ようで、何らかの理由で旅行に行けなくなった時に補償が受けられるサービスです。
サービスにもよりますが、たいていのものは旅行申し込み(航空券購入)から5〜7日以内に加入しなければいけないので注意が必要です。
私はまだ使っていませんが、次に水上バンガローのような高いホテルを予約した時は必須だと思います。この遅延被害があって以来数年は2〜3万円くらいのホテルにしか泊まっていないので、その程度なら100%取られてもまあ諦められますからね(キャンセル料を取られるのが1日分だけとは限りませんが・・・)。
まとめ
航空会社のせいで飛行機が遅延し、そのせいでホテルのキャンセル費用が発生した場合も、航空会社に補償してもらうことはできないようです。優しいホテルであればキャンセル料を免除してくれたり航空会社が補償してくれる可能性もありますが、それはラッキーだと思った方がいいでしょう。
今回の話をまとめると以下のようになります。
- 旅客運送約款(航空会社と航空券予約社の契約)ではフライトが遅れても目的地に到着さえすれば何の補償もしないことになっている
- 飛行機の遅延などにより余分なホテル代や交通費が発生しても航空会社は一切補償する義務はない
- 心配なら事前にキャンセル保険に入る必要がある
私はこれまで海外でそれなりにいろんなトラブルを経験しましたが、あまりひどい怪我や損害は受けたことがありませんでした。このため、旅行保険も持っているSFCやJGCに自動付帯してるやつでいいや〜と楽観的に考えていたのですが、甘かったようです。
よく考えたら、私が乗ったエアタヒチヌイ便は毎回往路と復路のどちらかで何らかの遅れが生じており、一切遅延せず旅行したことは一度もありませんでした。2018年の年明けは嵐で帰国便が1日遅れましたし。
やはり飛行機には遅れが付き物なので、遅れることを想定して保険などの対策をしておくことは必須ですね。
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