ANAやJALのような主要な航空会社では、飛行機にたくさん乗ると一般客とは違う上級会員になり、普通は受けられない様々な特典が受けられるってご存知でしょうか?
特定の航空会社を1年のうちにたくさん利用してしかるべきポイントを貯めると、一般のマイレージ会員とは違う「上級会員」に昇格し、アルコール飲み放題のラウンジに入れるなど様々な特典が受けられるようになるのです。
私も今となってはANAもJALも上級会員ですが、実は海外出張に頻繁に行くようになるまでその存在を知りませんでした。
今回はANAの上級会員のサービスや、どうしたら上級会員になれるのかを詳しく解説します。
ANA上級会員とは?
一般人とは一味違うサービスが受けられる特別な会員
ANAの飛行機に1年の間にたくさん搭乗すると、搭乗した航路や回数に応じてブロンズ、プラチナ、ダイヤモンドのいずれかの上級会員に認定され、様々な特典を受けられるようになります。
「たくさん搭乗」というのは、具体的にはこの後で説明するPP(プレミアムポイント)を一定数貯めることを意味し、ブロンズが一番簡単で、ダイヤモンドが一番難しい設定になっています。
それぞれ、そのステータスを達成する条件もサービスの内容も違いますが、ここでは一番一般的なプラチナステータスについて解説します。
プラチナは上級会員のサービスが一通り受けられ、かつダイヤモンドよりもハードルが低いので、上級会員を狙う人はだいたいプラチナを目指すのではないかと思います。
上級会員になるとどんな特典がある?
ラウンジに入れる
空港には、エアラインラウンジ(航空会社ラウンジ)というラウンジがあって、飛行機の時間まで休憩したり飲食したりできます。
クレジットカードで入れるラウンジもありますが、その質は全く違います。
クレジットカードのラウンジはせいぜいソフトドリンクのバーがちょろっと置いてあるだけでラウンジの広さもそんなにないですが、航空会社が運営するエアラインラウンジは基本アルコール飲み放題、国際線ではなんと食事まで食べ放題なのです!
ANAのラウンジももちろんそんな大盤振る舞いなラウンジで、プラチナ以上の上級会員はそのANAラウンジに無料で入れます!
中にはラウンジなんて必要ないという人もいますが、椅子がたくさん並んだ待合スペースで窮屈な思いをしながら飛行機を待つよりも、ビール片手にゆったりしたソファで窓の外を見ながら待ちたくないですか?
私はこのためにいつも1~2時間は必要以上に早めに空港に着くようにしています。
預ける荷物の制限重量が増える
プラチナ会員は、預けられる荷物の容量が一般客の二倍になります。
通常、国内線では20kgを1つまで、国際線では23kgを1つまでですが、プラチナ会員は国内線は40kgまで、国際線では何と23kgの荷物を3つまで預けられるのです!(スターアライアンス加盟の提携会社のフライトの場合2つまで)
私のようなダイバーはダイビングの機材だけで20kgくらいあり、いつも荷物の合計は30kgを軽く超えるのでありがたいサービスです。
チェックインや荷物を預ける時に優先レーンがある
もしかすると、上級会員向けのプレミアムサービスの中でこれが一番実利的かもしれません。
休暇シーズンの混雑した空港では荷物を預ける時に長蛇の列に並ばなければならず、ひどい時には一時間以上待たされることもあります。
一方、上級会員は主要空港においてはここでも優先レーンがあり、比較的すいた列から素早く荷物を預けることができるのです。
ただし、石垣空港や宮古空港のような小さな空港には優先レーン自体がないので待たなければならないこともあります。
保安検査場に優先レーンまたは専用入り口がある
これは空港によって仕様が変わりますが、多くの主要空港では保安検査場を通る時に上級会員用の優先レーンがあったり、時にはプレミア感満載の専用の入り口がある場合まであるのです。ANAだと羽田空港の国内線で上級会員専用の保安検査場(プレミアムチェックイン)があり、ラウンジに直結しています。
保安検査場で待たされることもあるので、これもかなり有利なサービスですね。
ただし、保安検査場の優先通過も空港によってはないこともあるのでご注意ください。小さな空港にはありませんし、大きな空港でもないことがあります。トロントのピアソン空港は、スターアライアンスの上級会員であっても何故か優先レーンはありません。
飛行機への搭乗時、他の人より先に搭乗できる
これはかなり賛否両論なようですが、機内に搭乗する時会員ステータス順に搭乗することができます。子連れや障害のある人が最初、次はダイヤモンド、続いてプラチナ、ブロンズ、一般客といった順番です。
飛行機なんて、席は決まってるし到着時間も変わらないのに我先に乗るなんて見苦しいという見方もあるようですが、機内が混み合わないうちに席までスムーズに移動できるのは楽ですし、頭上の棚も場所がなくなることがあるので先に場所を確保できるのは便利です。
手荷物受け取り時に優先的に早く出てくる
飛行機を降りてから手荷物が出てくるまでけっこう待たされた経験はないでしょうか?
プラチナ会員なら、預けた荷物も優先タグが取り付けられるので一般客よりも早く出てきます。
疲れて早く帰りたい時や、タクシーに他の人に取られる前に乗りたい時に便利です。
他にも細かい特典はたくさんあるので、もう少し詳しくはANAとJALの上級会員向けサービスを比較したこちらの記事をご覧ください。
飛行機に乗ると通常より多くのマイルが貯まる
プラチナ会員は最初の1年目は90%が通常のマイルに加算(合計190%獲得)、翌年もプラチナステータスをキープすると2年目から100%が加算になります(合計200%獲得)。更に上級会員専用クレジットカード「スーパーフライヤーズカード」を持っていればこれに更に5%ずつ加算されます。
ここで「ステータスをキープすると」という言葉が気になった方もいるかもしれません。そうなのです。上級会員ステータスは1年間で失効してしまうのです。下の方で書いているので詳しくはそちらをご覧ください。
どうすれば上級会員になれるのか?
さて、そんな特典もりだくさんの上級会員ですが、なるのは簡単ではありません。
PP(プレミアムポイント)を貯める
これまで飛行機に乗っていて気付いた人もいるかもしれませんが、ANAの便に乗ると後でPP(プレミアムポイント)というものが貯まります。
このプレミアムポイントを1年間に以下の通りためれば晴れて上級会員になれるのです。
ブロンズ:30,000PP
プラチナ:50,000PP
ダイヤモンド:100,000PP
ポイント数だけ見てもピンと来ないかもしれませんが、ANA SUPER VALUEという一番安い早割で羽田から沖縄に行った場合、片道あたり1,476PP貯まる計算になります。
つまり、プラチナ会員になろうと思ったら34回(17往復)羽田〜那覇便に乗らなければならないということですね。
そんなん無理やろ・・・とお思いかも知れませんが、海外に行けば一回で10,000PP以上貯まることもザラです。実際私はANAは4回海外出張に行っただけでプラチナ達成したので、組み合わせによっては出張が少ない人でも十分可能ですよ。沖縄行きの飛行機も、午前中の安い時間帯なら片道9000円くらいで買えるのでそんなに大枚をはたかなくても大丈夫です。
世の中の修行のプロフェッショナル達は50万円も使わずプラチナを達成しているそうです。
PPを効率的に貯めるルートとしては、国内では羽田〜沖縄が一番PP単価(1PP貯めるのに必要な航空券の価格)が安いということで修行の鉄板になっていますが、海外だとクアラルンプール〜羽田の航空券を海外発券で購入すると何と14,750PPも貯まるという裏技があります。
ただし、上級会員達成条件については注意点があります。それぞれのステータス達成に必要なPPの半分はANA便である必要があるのです。例えばプラチナになるには50,000PPのうち25,000はANA便に搭乗する必要があり、いくら50,000貯まってもそのうちの25,000以上がユナイテッド航空など他のスターアライアンス系提携会社のフライトの場合ステータスが達成できないのでご注意ください。
PPを貯める方法はひたすら飛行機への搭乗のみ
陸マイラーが飛行機に乗らずにマイルを貯めることができるなら、PPも飛行機に乗らなくても貯まるの?と思うかもしれません。
ですが、残念ながらそれはできません。PPはあくまで飛行機への搭乗のみで貯めることができるのです。
よく陸マイラー向けサイトで「飛行機に乗らずにPPを貯める方法」などという記事をみかけますが、あれはあくまで「PPを貯めるための飛行機の予約に使えるANA SKY コインという電子クーポンは、飛行機に乗らなくても貯まるマイルから交換できる」というだけで(ややこしいですね)、それで購入した航空券を使って物理的に飛行機に搭乗しなければPPは貯まりません。
こういった記事は「お金を使わなくても上級会員になれる」と「飛行機に乗らなくても上級会員になれる」を混同しているだけで、飛行機には乗らなければ上級会員にはなれないので惑わされないようにしましょう。
お金を使わなくても上級会員になる方法については、私も以下の記事で詳しく書いていますので興味のある人は是非参考にしてください。お金を使わずに貯めたマイルで好きなところを旅行しながら上級会員にまでなれる方法なので、陸マイラーに超おすすめです!!
PPを貯められるのは1〜12月の1年間のみ
さて、マイルは3年間有効ですが、そうも行かないのがPPです。
PPは毎年1月でリセットされてしまうので、1月〜12月のたった12ヶ月、つまり1年の間に貯めなければ、どれだけ頑張って飛行機に乗っても翌年にはリセットされて上級会員になれなくなってしまうのです。
世の修行僧たちは、1月から過酷な修行を開始して1年の間にプラチナステータスを達成しているそうですよ。
上級会員のステータスが続くのは一年間のみ。ただし永年キープする方法も。
そんな苦労の末にPPを貯めると、実質PPが貯まった翌月からその次の年度末まで上級会員になれます。残念ながら、苦労してPPを貯めて上級会員になっても、そのステータスは永遠に続くわけではありません。
ステータスを保持できる期間については、例えば2017年8月でPPが貯まってステータス達成した場合、2019年の3月末までそのステータスを保てるということです。
この図だと途中で切れていますが、2018年度末、つまり2019年3月31日までステータスが続きます。この画像はダイヤモンドのものですが、プラチナでも同じです。
一応、正式に上級会員になれるのはPPが貯まった翌年度からなのですが、PPが貯まった翌月から翌年度開始までの間は「事前サービス」として正会員と同じサービスが受けられるので、実質PPが貯まった翌月から上級会員になれると思っていいでしょう。
あ、ちょっと待ってください。1年しか続かないならいらないなんて言わないでください!!
確かにプラチナステータスは1年しか保持できませんが、プラチナを達成した人だけが加入できる「スーパーフライヤーズカード」通称「SFC」というクレジットカードを持っていればプラチナとほぼ同等のステータスをずっと継続することができるのです!!
中には毎年修行してプラチナを達成するという猛者もいるそうですが、私はSFCだけでずっと上級会員ステータスを保持しています。一度上級会員のサービスを味わってしまうともう元には戻れませんよ。もしPPを達成したらみなさんも必ずSFCに加入してくださいね。
まとめ:PPを貯めるのは苦労するけど上級会員は最高!!
いかがでしょうか?PPを貯めるのはちょっと大変そうに見えるかもしれませんが、一度上級会員の甘い汁を吸ってしまうともう元に戻ることはできなくなってしまいます。
私は今となってはエアタヒチヌイやデルタなど自分が上級会員になっていない航空会社の飛行機に乗る時は何だか落ち着かないくらい上級会員のサービスを享受しています。
一度上級会員になれば貯めたマイルでの旅も更に楽しくなるので、陸マイラーとして飛行機に乗らずにマイルを貯めるだけでなく、上級会員を目指してみませんか?
ANAのマイルを貯める方法については以下の記事でも詳しく書いています。