ビーチリゾート好きな皆さんに悲しいお知らせです。
今年2019年になって、タヒチの一部地域のサンゴの50%以上が白化している様子が観測されました。
研究者によると、2ヶ月前に観測した時には生き生きとしていたサンゴが突然様変わりし、ほとんどが部分的または完全に白化していたとのことです。ここまで短期間でサンゴが白化してしまう過程を目の当たりにしてしまった研究者は、大変ショックを受けているそうです。
白化したサンゴが観測されたのはタヒチ(フランス領ポリネシア)のタヒチ島、モーレア島の水深100メートル付近の珊瑚礁です。
サンゴの白化現象は、海水温の上昇によりサンゴの中の共生藻が流れ出てしまい、サンゴの骨格が露出するために起こる現象で、通常はエルニーニョにより海水温が異常に上昇した時にだけ起こります。
ですが、今回はエルニーニョも起こっていないのにここまで大規模な白化現象が起こったということで、研究者グループは観光資源や漁場として珊瑚礁に依存している国々に警告をあげているとのことです。
今回の白化はまだ白化してからの日が浅いので、これから数週間のうちにうまく海水温が下がってくれれば共生藻が戻ってきてサンゴが復活する可能性もありますが、ニュース発表時点ではまだ水温の下降は観測されていないそうです。
珊瑚礁にあまり関心のない人は「白い珊瑚礁きれいじゃん」と思うかもしれませんが、サンゴが白化(死滅)するということは、そこに寄ってくる魚がいなくなり、やがてその珊瑚礁がある地域はリゾート地としての価値もなくなることを意味します。つまり、珊瑚礁が白化すると、我々が観光地として訪れることもできなくなってしまうという重大な問題なのです(できなくはないですが、魚のいない静まり返った海なので面白みはないでしょう)。
サンゴはまた新しく生まれてきますが、大きな珊瑚礁が発達するにはとても時間がかかります。近年オーストラリアのグレートバリアリーフのサンゴも半分以上が死滅したとのニュースもありますし、今も美しい自然が失われ続けているのはとても悲しいことです。
大規模な白化現象は気象が原因で起こるものなので、旅行者として我々にできることは少ないですが、せめて珊瑚礁に害のある日焼け止めの使用をやめたり、日々の電気やガスの使いすぎに気をつけて地球温暖化を防ぐことはできるのではないかと思います。
地球の自然を生かすも殺すも一人一人の意識次第なので、是非皆さんも日頃の自分たちの生活が美しい自然に影響を及ぼし得るのだということを心の片隅に置いていただければと思います。
なお、珊瑚礁に害のある日焼け止めと代わりとなる無害な日焼け止めについてはこちらの記事でもまとめています。
■海外のニュース記事(英語)
https://www.abc.net.au/news/science/2019-05-21/coral-bleaching-french-polynesia/11129634