2019年6月上旬、大手薬局「ココカラファイン」が同じく業界大手のマツモトキヨシまたはスギ薬局と経営統合するという報道が世間を賑わしました。
この議論は実は何年も前から水面下で行われていたそうで、マツキヨ>スギ>ココカラの順番で規模の大きい3社のうち、一番規模の小さいココカラファインがマツキヨかスギのいずれかと経営統合するというものです。
何で陸マイラーを題材にした当サイトでそんなことを話題にするのか?
それは、ココカラの合併先と両社のポイントシステムがどうなるかによって陸マイラーの生活にも大きく影響を及ぼすからです。というのも、マツキヨのポイントはANAのマイルに交換できるので、もしココカラがマツキヨと経営統合して、しかも仮に両者のポイントシステムがマツキヨ現金ポイントに統合されれば、これまでココカラファインを使っていた人は今後普段の買い物でANAのマイルが貯まるようになるということなのです!!
これはマツキヨを使いたくても遠くて使えなかったココカラユーザーの私にとっては大きなニュースです(もちろんココカラの店舗でマツキヨポイントが使えるようになることはまだ決まっていないんですが)。
というわけで、今回は過去に合併した大手企業のポイントシステムの事例や今後ココカラファインのポイントシステムがどうなるのかを当サイトなりに予想してみました。
マツキヨ、スギ、ココカラ各社の現行のポイントシステム
まず、各社のポイントシステムの概要をまとめてみました。
ANAマイルへの交換ができないのは何とココカラファインだけのようです。
還元率 | 他社交換 | 使い道 | ANA交換レート | |
マツキヨポイント | 100円→1pt | ○ | 他社交換 商品割引 景品交換 |
56.70%(※1) |
スギポイント | 100円→1pt | ○ | 景品交換 商品交換(※2) ANAマイル交換 |
20% |
ココカラポイント | 100円→1pt | × | 商品割引 | – |
※1 マツキヨポイントから直接ANAマイルに交換することもできますが、それだとレートが20%なのでソラチカルートを使った場合のレートです。詳しくは下に書いています。
※2 商品「割引」ではなく「交換」のようです。足りない分を現金で補う「割引」ではなく、貯まったポイントを店頭の商品と交換するだけなのでポイントが足りない場合交換できないということではないかと思います。
3社とも還元率は100円につき1ポイントなのでどこも同じですが、貯まったポイントの使い道の柔軟性は大きく異なります。
私もココカラファインを使っていますが、貯まったポイントは500円割引券として商品購入時の割引に使うことしかできません。一方でマツキヨもスギもANAマイルへの交換に対応しているので、陸マイラーにとっては大きなメリットですね。
過去に経営統合した大企業のポイントシステムの事例
また、薬局や他の大手企業が過去に合併した際、ポイントシステムがどうなったのかについて少し調べてみました。
薬局の例だとちょうどマツモトキヨシとドラッグぱぱすが合併した例があり、薬局以外だとコンビニ大手のファミリーマートとサークルKが統合した例や、大手ホテルチェーンのSPGとマリオットが統合した例があります。
マツキヨとドラッグぱぱすの合併の例
今回調べて初めて知りましたが、マツキヨは「ドラッグぱぱす」という東京の薬局を2006年に吸収合併したことがあるようです。「ぱぱす」も独自のポイントシステムを持っていましたが、ぱぱすとマツキヨのポイントは長い間統合されず相互利用もできず、2013年4月からようやくマツキヨポイントに統合(変更)されたとのことです。
7年もかかるとはちょっと残念ですね。
ファミマとサークルKの合併の例
大手コンビニチェーンのファミリーマートはTポイントカード、サークルKは元々楽天ポイントカードを使っていましたが、両社の経営統合後はサークルKが楽天ポイントカードを廃止し、吸収した側のファミマが使っているTポイントに統一されました。
SPGとマリオットの合併の例
大手ホテルチェーンのスターウッド・ホテル&リゾートは2016年にマリオット・インターナショナルと合併しましたが、スターウッドのポイントシステムであった「SPG」とマリオットのポイントシステムの「マリオット リワード」は統合して新しいプログラム「Marriott Bonvoy」(マリオットボンヴォイと読みます)になりました。新しいプログラムとは言っても、マイルへの交換レートに大きな違いはありません。
この3つの事例では、いずれも吸収側のポイントに統合されるか、新しいシステムを作っています。
ココカラ統合後のポイントシステム予想
さて、ではココカラファインがマツキヨまたはスギ薬局と統合した後のポイントはどうなるのでしょうか?
考えられる選択肢
可能性の高低は別として、考えられる全てのパターンは以下の通りです。
- 吸収側(マツキヨ or スギ)のポイントに統合
- 経営統合してもポイントカードはそれぞれのまま(ポイントは統合しない)
- 新しいポイントシステムを作る(Marriott Bonvoyモデル)
- 双方のポイントシステムを廃止し、Tポイントのような別の既存の共通ポイントシステムを新しく導入
- ココカラファインのポイントに統合する
- ポイントシステムを廃止する
このうち、私は1か2のどちらかになると予想しています。理由は以下の通りです。
5のココカラに統合または6のポイントシステム廃止は無いかなあ・・・
まず、6のポイントシステム自体を廃止するのはさすがに有り得ないと思います。5のココカラポイントへの統合についても、ココカラファインは吸収される側ですし、他社ポイントやマイルに交換できないなど柔軟性も低いので、この選択肢もないと思います。
3の新ポイント制度導入、4の別の既存共通ポイント導入も難しそう
3の新ポイント制度導入については、新しいポイントシステムを作るのは顧客管理システムの構築やID移行の面でデスマーチ確定な大変さになるはずなので、マリオットのようにポイントプログラムをマーケティングの主軸にする(重視する)くらいの戦略がない限りちょっと考えにくいのかなあと思います。
4の別の共通ポイントを導入することについても、結局両社がシステムを移行しなければならず3と同様の大変さなので、あまり現実程ではなさそうだと思います。
もし現状吸収側もココカラもどちらもポイントシステムが貧弱(他社に交換できないなど)で改善の必要があるという場合は新システム導入や既存の別ポイント導入も考えられますが、マツキヨのポイントもスギのポイントもすでにそこそこ柔軟性が高いですし、ドラッグストアがポイントシステムにそこまで主眼を置くとも考えにくいので、そこまでする必要もないのかな?という気がします。
残るのは1の吸収側のポイントに統合するか2のズルズル現状維持か
やっぱり、マツキヨとスギのポイントシステムが他社交換に対応するなど悪くない柔軟性であることを考えると、理想は1のマツキヨもしくはスギのポイントに統合ではないかと思います。
もちろん、吸収側のポイントに統合したとしても片方のポイントをもう一方のシステムに移行することになるのでシステム担当が血反吐を吐くのは想像に難くないですが、2つのブランドを統合する場合それはある程度仕方ないことなのではないかと思います(ブランドは統合せず元の店名をキープして経営を続けるならポイント統合もしないかもしれませんが)。
また、選択肢2のそれぞれのポイントシステムを使い続けるというのは、システム移行の開発費が取れずズルズル現行のシステムをキープする最悪のパターンですが、結局はこれが一番現実的な選択肢かもしれません。
マツキヨとぱぱすの合併の例を見ても、ずっとお互いのポイントをそのまま使い続けて7年後にやっとマツキヨポイントに統合されたことを考えると、ココカラとマツキヨ(またはスギ)が合併しても最初の数年はポイントが統合されないという景色もなんとなく目に見えていますね。
もし経営統合でマツキヨ現金ポイントが導入されればANAマイルに交換可能に!
では、もしココカラがマツキヨと合併してポイントシステムもマツキヨポイントに統合された場合、陸マイラーにはどんなことが起こるのでしょうか?
冒頭でも書いた通り、マツキヨポイントはソラチカルートに乗って56.7%の高レートでANAマイルに交換できるのです!!(ソラチカルートを知らない人はこちらの記事参照)
マツキヨポイントからANAの交換ルートとレートは以下の通りです。
- マツモトキヨシ現金ポイント(100%)→Gポイント(70%)→LINEポイント(70%)→メトロポイント(63%)→ANAマイル(56.7%)
マツキヨポイントからANAマイルにする方法の詳細はau WALLETポイントをANAポイントにする方法についての記事で詳しく書いています(au→マツキヨに交換する必要があるため)。
なお、マツキヨポイントはANAに直接交換することもできますが、これだとレートが20%になってしまうので必ずソラチカルートを使いましょう。
もしこれが実現すれば、これまでココカラファインを使っていた陸マイラーは大喜びなのではないでしょうか(私もココカラユーザーなので大喜びします)。
今後、固唾を飲んで3社の動向を見守りたいと思います。
■ANAマイルを貯める方法